ricca
-六花-
贈り主は島根県在住、33歳のOさん。贈りたい相手はOさんの大学時代の友人であるMさんです。今回はMさんの誕生日のギフトとして、リースをプレゼントする事になりました。
贈り主のOさんは大学を卒業して以来、Mさんとは就職を機に離れ離れになっていましたが、手紙やプレゼントのやりとりは続いていました。その後Oさんは結婚し、夫婦として歩み始めますが、すぐに困難が訪れます。困難の真っ只中にいたOさんを支えてくれたのがMさんでした。普段は会えない距離の2人ですが、Oさんの苦しさを誰よりも受け止め寄り添ってくれたのがMさん。困難を乗り越えたOさんから、離れている分お礼を伝える機会もここまで中々なかった為、誕生日のプレゼントとして改めて感謝の気持ちを込めて花を贈りたいとご依頼頂きました。
-贈る相手のMさんとはどんな関係でしょうか?
元々は大学時代の同級生でした。学部が一緒で会話する事も増え、自然と意気投合していって。私の方が自然と彼女に惹かれていった印象です。穏やかで優しい人ですが、どこか芯のある強さを持っていましたね。大学時代はべったりいつも一緒のいたわけでないですが、就職を機に離れ離れになっても手紙のやり取りや、好きな本を紹介してもらったりしていました。感性豊かな人なのでそうやって刺激をもらったり勇気づけられたりしていましたね。
-離れてもいても交流があるのはすごく素敵な関係ですね。
今回、改めて感謝を伝えたいと思ったのは何かきっかけがありますか?
きっかけは私が鬱になった事です。
私は30歳で地元の島根県で結婚しました。その時は順風満帆なライフステージをイメージしていたんです。結婚して、子供が生まれて、家を買って。それが自分の幸せだと心の底から思っていて。でも、すぐには子供ができませんでした。女性は早くに子供を産まなければ様々なリスクが高くなる。それに、両親に早く孫の顔を見せてあげたかったのも重なり、余計焦りましたね。
私の焦りをパートナーの彼は感じたようですが、私の考えとは温度差があるようでした。全てが噛み合わなくなってきて、この時期は本当に苦しかったです。
-この苦しい時期はどう乗り越えたんでしょうか?
いえ、結局この価値観の差を埋めることができないまま、離婚する事になりました。
乗り越えられなかったんです。離婚の話になった時、私は自分を責めました。 パートナーとの共通の友人にも相談しましたが、私の考えを正すよう指摘されて、 あぁ私がやっぱり悪いんだ、という気持ちがより膨らみました。もう自分の無価値感がすごくて、楽に死ねるんだったら死にたいとまで思うようになっていました。
この時病院に行き、鬱と診断されたんです。
-苦しい出来事の真っ只中で自分の考えを指摘されるのは辛いですね。
その状況の中でMさんとはどんな関わりがあったんですか?
たまたまMさんといつものように連絡をとる機会があって。お互いの近況を話しました。ちょうどその時、Mさんに彼氏が出来たんです。 自分のことのようにすごく嬉しかったです。私の近況はあまり良い内容ではなかったので伝えるか悩みましたが正直に話しました。彼女はそれを聞いてすごく心配してくれて。ただ心配してくれるだけじゃなく、 彼氏と一緒に大分から島根までわざわざ車で来てくれました。カフェでただただ私の話を聞いてくれて、受け止めてくれたんです。その為だけに来てくれて、次の日は観光もせず大分へ帰っていきました。その事があったから私は頑張って生きなきゃと思えた。ここまでしてくれて、こんなに心配してくれる人がいるなんて って思えるようになったんです。 その後、Mさんはめでたく結婚しました。
-この出来事を経て、Oさんにはどんな変化がありましたか?
価値観は大きく変わったと思います。
人は誰かを通して承認欲求を満たしていると気付きました。
私は、誰かの望む人生じゃなく、 自分がしたい事を改めて考えるきっかけになったと思います。そう考えれるようになったのも、やっぱりMさんのおかげかな。私はずっと、私を無条件で受け止めてくれる存在が欲しかった。だから他人の望む自分になることで、認めて欲しかったんだと思います。今は誰に何と言われようとMさんがいてくれるから大丈夫です。それは今だから言葉にできるけど、当時は無意識のうちに周りのして欲しい事が自分のしたい事になっていましたね。
中々会えないし、 面と向かって感謝を伝える機会がなかったのですが、命の恩人と言っても大袈裟ではないです。いつも優しくて凛とした強さをもつMさんに、 苦しみを一緒に乗り越えてくれた感謝のありがとうとお誕生日おめでとうの気持ちも合わせて花を贈りたいと思います。
florist message
「六花」
-花は元々実りの先触れや前兆といった意味でついた名前といわれます。寒さのただ中であらわれる雪や霜を「花」に見立てることで春の先触れとし、心に春を呼び込んで、厳しい冬を乗り越えてきたの私たち日本人は雪の結晶を花に見立て六花と呼びました。
送り主にとって、受け取り主の存在そのものが春の先触れのような花のような存在だと感じ、「六花」のリースを作りました。雪の結晶をナンキンハゼの白い実で表現しました。